
1ページ — 日本語訳
第1章:エビファニーって、いったい何なんだ???
一粒の砂の中に世界を見、 一輪の野の花の中に天国を見る。 手のひらに無限を握り、 一時間の中に永遠をとらえる。
ウィリアム・ブレイク
金曜日、午後5時30分、東京
人生には、その行く先をすっかり変えてしまう力を持つ出来事がある。 だが、そうした出来事はどれも、臨死体験のような強烈なものである必要はない…… 一見すると、ごくありふれたものの中にも訪れるのだ……
……何気なくて、
無邪気なものの中にも。
これはケン・ヒヤシの物語。 小さな淡水エビとの偶然の出会いが、彼の人生をひっくり返した…… いや、むしろ、正しい向きに戻したのだ。

2ページ — 日本語訳
ログオフ ログオフしますか? はい/いいえ
カチッ
すごいよな…… この2日間、仕事をまったくしてないのに、何のおとがめもないなんて! ハハ。
やあ、ケン。また来てくれてうれしいよ!
こんにちは、スズキさん。
アッ!

3ページ — 日本語訳
ひと目ぼれだった! そのエビたちは、幸せで何の心配もなかった子どもの頃をケンに思い出させたのかもしれない。父親はよく彼を川へ連れていき、一緒にエビを捕ったものだった。 だが、目の前のエビは、これまでに見たどのエビとも違っていた! どうしても手に入れたかった。
このエビ、いくらですか?
翌日
ジリリリ、ジリリリ……
な、な、な……

4ページ — 日本語訳
……なんだってぇ!?!
ケンは打ちのめされた!!! 何がいけなかったのか? それから3か月間、彼はこのエビたちを生かしておくための正しい飼育方法を、自分で探し求めた。
学んで身につけるのは容易ではなかった。エビが元気に育つためには、水の化学やエビの生態、遺伝学などを学ぶだけでなく……
……忍耐と謙虚さ、そして自制心も身につけなければならないと、彼は気づいた。 だが、数々の困難があっても、エビには彼を強く惹きつける何かがあった。その魅力が、なんとしても成功したいという彼の決意を奮い立たせていた。

5ページ — 日本語訳
6か月後
よくやった、ケン! 君の仕事はすばらしいよ!
外から見れば、ケン・ヒヤシはほとんど変わっていないように見えるかもしれない。
相変わらず物静かで、控えめだ。
食事は今でも、一人でするほうが好きだ。
少しだけ、身の回りをきちんとするようにはなったかもしれない……
だが、内面では……
彼の中では、多くのことが変わっている。いや、この見方をすれば、彼のすべてが変わったのだ。
完

